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ステートメント&プロフィール

五百蔵由季 (いおろい ゆき)

< ステートメント >

 

IOROIは「言葉 / テキスト」を主軸とした表現による絵画作品、半立体作品を制作。

それらのテキストは人間の心理や行動から主に着想を得た構成となっており、言葉や文章を提示された時に読み始めてしまうという人間の普遍的な衝動を活用しながら、人間の自己認識や顕在意識に対して疑問を投げかけている。

神経科学者の研究によると人間は1日に約5万~6万回思考するが、そのうちの90%以上が昨日と同じ内容であり、無意識下だと言われている。それが意味するのは、同じ思考は同じ感情を生み、同じ行動を取らせ同じ結果を招くというサイクルに陥ることであり、無意識に繰り返される思考から習慣的に発せられる言葉は、暫しネガティブな要素を含んでいるとも推察される。

 

半立体の作品の中でテキストを印刷した紙を言語の迷路のように立体的に重ねたり、平面作品では何度も同じ言葉をステンシル技法等によって描くことで、人間が思考を元に脳内で発する言葉、 ‘’セルフトーク’’ の「繰り返し / リピート」を象徴している。また、その「繰り返し」によって形成される無意識のサイクル、反復による会得、意識的な選択による習慣化など、感情や行動として現れる結果を表現。作品の持つメッセージ性の輪郭をテキストによって視覚的に鮮明にすることで、鑑賞者と作者の共有可能なコミュニケーションツールとなり作品と対峙する者を議論の場へと誘う。

 

現代はソーシャルメディアの浸透によって、誰でも個人が共有空間へのアクセスや他者への介入、情報発信が可能な時代となり、絶えず陳腐な真実や流麗な嘘が氾濫している。そういった中で、起きている事柄や存在している、溢れ続ける外側の事象へのフォーカスではなく、それらに晒され続けている現代人が、目にするもの聞いたものに翻弄されない生き方を確立するため、また、見失わないためにはどうすれば良いのかという点に着目し、IOROIの作品は個人個人の内側に直接作用し得るメッセージ性の追求に重きを置いている。

 

現実や真実とは何なのか。見ている世界を信じているのか、それとも信じている世界を見ているのか。無意識の日常の深層部に対して意識を向ける問いを作品を通して提起している。

< プロフィール >

 

1980 静岡県出身

2001 渡米しL.Aにて二年間の語学留学

2007 東京阿佐ヶ谷美術専門学校イメージクリエーション科卒業

2011 渡英しロンドンにてアーティスト活動を開始

2013 東京に活動拠点を移し個展、アートフェア出展、企画展

2016 オランダに拠点を移し主にロッテルダムにてアーティスト活動兼、現地でのギャラリー設立と共同経営

2023 静岡に拠点を移し現在に至る

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